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活動日誌

猫の糖尿病

2017年06月07日

糖尿病は、膵臓から出るインスリンというからだの血糖値を下げるホルモンが、
いろんな理由でうまく出なかったり、働かなくなったりする為に
起こる高血糖状態になってしまう病気です。


高血糖状態が続くと浸透圧の問題で次々にカラダの水分が
オシッコとして出てしまうので、激しく脱水してグッタリします。
そうなると食欲も無くなりますので、カラダが体脂肪を分解しまくるため、
脂肪の分解産物である「ケトン体」という酸性物質が過剰に血液に出て、
血液が酸性になります。 
すると、カラダが「アシドーシス」という酸性の危機的状態になり、
激しい嘔吐や昏睡(グッタリする)、神経症状を起こしたりします。
この状態を「ケトアシドーシス」といいます。


そんな糖尿病ですが、犬と猫では病態が少し異なります。
犬の糖尿病はインスリン自体が不足してしまうので、
生涯インスリンの注射が必要になります。


それに比べ猫は人の糖尿病に近い状態なため、
インスリン療法と食事療法の両方で治療を行い、
やがて食事療法だけで管理できるようになることもあります。


今回は猫ちゃんの糖尿病治療についてのレポートです。


依頼内容「ここ1ヶ月食欲が落ちて飲水が多くなってきた気がする」
10歳、オス(去勢済)、体重8.8㎏、日本猫
仙台から50キロ離れた地方都市の方からの依頼です。
近くの病院と相性が悪く、近隣都市の病院まで行っていたが、
車に乗るとパニックになるし、病院でも、
かなり激しい拘束(肢をヒモで縛られて検査)されるらしく、行きたくないとのこと。


診察したら、血糖値が正常の3倍くらいで、脱水も強く存在しています。
食欲はかなり落ちていますが完全にない訳ではなく、
吐き気やふらつきはないので、糖尿病だとは思うが
ケトアシドーシスまではいってないと考えました。


糖尿病というのは手間もお金もかかるし、
往診代(地方都市で6000円区域)も
高いので当院での治療はあまり勧められない旨を伝えましたが、
どうしても家で治療してやりたいということで、
しばらくは頻繁に伺うことに了承していただきました。


糖尿病は、血糖値だけでなく、
外部委託で糖化アルブミンという(2週前の血糖の動向を調べる検査)数値と
尿も調べなきゃいけないのですが、猫ちゃんが結構暴れるのと
体が大き過ぎて保定袋のサイズが合わず難しいので、
追加検査はせずこの日は皮下点滴で終わらせました。
またインスリンも在庫してなかったので、つづきは翌日になりました。


翌日、猫袋の特大サイズと
インスリン(ランタスという比較的長時間効くタイプのもの)を仕入れ、再診。
※猫用のインスリンというのも発売されているのですが、
取り寄せに3日かかるため断念し、ランタスを使用しました。


尿検査をしたら、尿糖は多めに検出、ケトン体が軽度検出ですが、
血糖値は前日の半分くらい(正常の1.5倍)まで回復し、
食欲、元気は少しでてきたようです。
体が肥えているので脂肪が分解されやすいので、このくらいのケトン体は
ケトアシドーシスでは無いだろうと考え、普通の糖尿病としてインスリンを1日2回、
最低限(1単位)ずつだけ使ってやっていくことにして、
飼主さんに注射の仕方を指導し、1週間分処方しこの日は終了。


しかし、これは甘かった~・・・
その日の夜から食欲が完全に無くなり、
ひどい下痢してグッタリしてきたと報告。


結局、3日目も駆けつけましたが、そのときは血糖値は正常値。
グッタリが一番ひどいときから少し時間がたっていたため、
低血糖を起こしていたと考え、インスリンは中止し、
皮下点滴(他に吐き気止め注射も)を毎日やって貰うように指示しました。
猫ちゃんは結構暴れるのですが、飼主さんのやる気が凄いので全て注射で処方しました。


しかし、その後も吐いたり下痢したりがつづき、4~5日、悪いまま経過してしまいます。


病気発覚から1週間後、嘔吐は落ち着いたけど、全く飲み食いせず元気もなしということで、
もう一度全身の血液検査をしたら更なる肝数値の悪化、脱水の進行、
ミネラルバランスの崩れ、そして尿にはケトン体が強く出てます。


完全にケトアシドーシスと考え、これ以上は在宅は厳しい旨を伝えましたが、
飼い主さんは在宅での治療を強く希望です!何事もチャレンジ! 
ということで、在宅で行うこととなりました。


静脈を確保し、家で入院と同じ内容での治療をスタート。
ケトアシドーシスという状態はインスリンを使いながら、
点滴に糖混ぜて、水分と糖を点滴しながら血糖値をチェックしなきゃいけません。
インスリンを体に馴染ませて、体の中でのインスリンの働きを活発にさせたいが、
食べられないので、低血糖を防ぐために点滴で糖を入れる必要があります。


一日に何回も血糖値を計らなくてはいけないので、入院管理でもかなり手間がかかり
大変なんで、費用なんかも半端ないんです!
しかも猫なんでストレスも逆に悪化させる素になることあるし・・・


でも、こうなったら何事もチャレンジ。
ということで、上記のように静脈確保し、糖を混ぜた点滴液を点滴しながら、
インスリンをうってもらうことになりました。
勿論、低血糖時に静脈から直接注入してもらう糖液もとんぷく処方し、24時間、
いつでも電話対応できるようにもしています。


この猫ちゃん体型(肥え?)の関係でおしりの毛づくろいができないらしく、
普段からウンチをするたびに飼主さんがお尻を拭いてあげるような関係で、
結構信頼関係は築かれています。


しかし、点滴スタートと同時に点滴のラインを齧る、
エリザベスカラーでパニックになるでバタバタ・・・
無理かな~と思ったら、飼主さんが「言葉で注意すれば言うこと聞くから」というので
24時間夫婦で交代で声かけて点滴ラインを守るというということを信頼し、治療継続。
血糖値は人間用の簡易血糖測定器(飼主さんに貸しました)を使い、
耳の皮膚を少し刺したときににじみ出る血で測定、
もちろんそのあとインスリンもうってもらいました。


簡易血糖測定器


これ通常の病院で使用する血液検査の器械の測定値に比べ、
数値が10~30くらい誤差が出ますが、十分参考にはなります。


その間点滴ラインの確認をしなきゃいけないので、毎日伺わせていただきました。
正直一晩でも点滴ができればOKくらいしか考えていなかったのですが、
24時間にわたる飼主さんの気迫の看護で結局3日もできました。


病気発覚から10日目
点滴でケトン体が少なくなって、食欲こそ無いですが、元気になってきたので
インスリン、皮下点滴、頻繁な簡易血糖測定を自宅で継続支持。
静脈点滴のストレスから開放され、ケトンも減りラクになってはいるものの
食べないのは変わらないので、また低血糖の危険を考えなきゃいけません。
と言う訳で強制給餌(シリンジで強制的に口に入れる作業)で管理してもらいました。


とにかく、マメな飼主さんで1回のインスリンがどのくらいもつのか聞かれ、
15時間くらいと答えると、1日2回で12時間に1度入れると、
被って効くことがあるから心配なので「15時間間隔でうちたい」と言って
夜中だろうが早朝だろうが、血糖値測定とインスリンをうってくれます。


もうここまできたら、入院治療よりはるかに強力な治療ができます。


そんなこんなで、病気発覚から20日目にはケトン体、尿糖消失、血糖値も常に
正常値で安定、食欲も出てきて処方食を食べてくれるようになり、
現在ではインスリンもやめて、処方食だけで管理できてます。
病気発覚から2ヶ月後、健診しましたが、全て正常値で無事卒業!!


勝因は飼主さんの絶大なるやる気以外になにもありません!
その気持ちが猫ちゃんに通じたのでしょう!


個人的にも「往診での在宅治療で入院と同じことができるんだ!」
しかも遠い地方でもという自信がついた症例でした。


移動アニマルクリニック浜口  浜口 純

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