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猫パルボからの生還!
- 2025年03月14日
久々の投稿になっちゃいました~
今回はとっても恐ろしい病気である「猫パルボウイルス感染症」から
奇跡の復活をしたこの子達のお話です。先日、私が運営している保護猫譲渡るーむに猫を委託してくれている
保護猫ボランティアさんから、こんな診察依頼がありました。「保護して10日の仔猫が全然食欲ない」とのこと。
生後2か月、体重600~800グラムの仔猫たちですが、
保護した直後もあまり元気がなく、念のためパルボ検査を実施して陰性、
その時に3種混合ワクチンも接種していました。
しかし、その後も食が細く、元気が全然なくなったとの報告でした。
1日で回復する気配がなかったので、そのまま預かりました。預かり初日もパルボ検査しましたが、また陰性。
食が細いので、排泄物も少なく、うち1頭が唯一していた便での翌日の検査も陰性。
皮下点滴をして食欲刺激剤を飲ませて、ちゅーるを食べさせてましたが、
やはり元気なし。そして、入院2日目に下痢便があったため検査したところ
ついにパルボ検査に陽性反応がでました。やはりきたか~
というのが私の印象で、同時に3頭中1頭でも助けられれば・・・。
位の気持ちでした。猫パルボは2年前に往診で担当しましたが、その時は3兄弟全滅。
昨年もパルボ陽性の子1頭とその子と一緒にいた子猫6頭預かりましたが、
シャワールームに隔離していたパルボの子は死亡。
他の子は入念な衛星管理の成果で生還。そして今年、明らかに、極端に元気のない子がいたんで、その子がパルボ陽性と判断し
とりあえず、トリミング室のケージに移して隔離。
小さい猫トイレが無かったため、100均で食器かごを買ってきて、他の2頭も隔離スタート。
依頼主さんは個人ボランティアさんのため、かけられる予算が皆無。助からないのを前提で、必要最低限の治療と本人達の回復力にかけるしかない!
というのが、私ができる精一杯の治療方針でした。ここで言う最低限の治療とは、タミフル、抗生剤の内服、吐き気止めと皮下補液の注射。
状態が悪化して、それ以上の治療が必要な時はやらずに看取るというもの。パルボウイルスは生後3か月以下の仔猫が感染すると、生存率は無いに等しいです。
大事なことはかかった子より、近くにいる無事な子を救うということです。空気感染はしませんが、医療従事者の手や衣類から感染拡大をするため、
パルボを濃厚に治療するということは院内感染のリスクが拡大してしまいます!だから、多くの病院がこの病気の受け入れを拒否します。
受け入れてくれる病院でも、施設の隅っこにあるような隔離室に真っ暗の中入院、
決められた担当医が決められた時間にのみ治療にくる感じになり、細かいケアも
出来ないことが多いんです。前回、シャワールームに入院させ看取るという可哀想な形になってしまったことから、
今回は少しでも明るい環境で治療してあげたい!!
その結果こうなりました~。ここは基本、犬しか使いませんし、幸い今は頻繁には使用していない。
レンタルトリミングルームは6日間使用不可にしてこのOPEN環境でのパルボ治療開始です。
それと同時に少しワクチン間隔が開いていた施設内のシニア猫たちにワクチン接種、
向かいのケージにいた少し大きい仔猫たちは2階へ移動。パルボの子達に触るのは1日2回、朝と夜
期間中たまたま朝の他の猫世話はスタッフがやってくれたんで、
午前中は早めに治療してあげられました。パルボの基本は患者の治療以上に二次被害の防止!!
この子達を触るときは、防護服に手袋。
作業したところはその都度塩素消毒。
治療後はドアノブの消毒、防護服だけでなく、服も着替え、
そして自宅に帰りシャワーで身を清める。それから往診業務。
夜は業務終わって他の猫世話が全部終わった後の治療でした。
勿論、終わったら着替えて自宅に帰りシャワー。それから、病院戻ってきて残務処理。
治療や世話はトータル1時間半くらいなのですが、衛生管理などの気遣いは無限大!!
これがパルボの治療です!1日2回も全身洗うので、髪はパサパサ、消毒薬と手洗いで手は荒れ放題・・・。
でも「1頭でも救ってあげたい!!」この気持ちと、
周りが断ることを受け入れているという充実感がモチベーションでなんです!そんな熱い思いで治療初めて3日目
なんとみんな食欲が出てきたんです!!!
この子達の生きる力が、奇跡を起こしてる瞬間でした!タミフル投薬4日目
ついにパルボ検査でほぼ陰性のマーク!!
"回復宣言"です。仔猫らしい顔が戻ってきました~!
隔離解除で1週間ぶりの兄弟再会。この子達は3頭一緒のケージに戻して隔離終了!
1日がかりの消毒を終え、隔離室からトリミングルームに戻りました~。
その後は仔猫生活再開!
沢山遊んで、入院14日後、無事退院!
体重も全員1キロ超えました~!
今回の奇跡はこの子達の生きようとする力が全てです!
この子達はこれからボランティアさん宅で、可愛さに磨きをかけて
保護猫譲渡るーむに入る予定です!!この奇跡3兄弟をよろしくお願いいたします!!
今回ラッキーだったのは、意地でも助けなきゃというしがらみがなかったことと、
トリミング室が営業してなかったおかげで、隔離室として使えたことですかね?このトリミング室のおかげで、温かみのある部屋で管理することができました。
日頃あっても無駄とか、不良債権とかこの部屋を揶揄してましたが、
この部屋があって本当良かった~、と思った瞬間でした。あと、私の営業スタイルもパルボ対応に適してます。
往診活動がメインなので、自分さえ身を清めれば院内感染は起きにくいですから~。でも、こういうときに限って18歳とか22歳とかの猫の依頼がくるんですよね~。
結構神経すり減らしました~。仔猫の診察は1回だけありましたが、正直に話して往診に切り替えもらえたし、
施設に老猫や仔猫を入れなくてもどうにか成り立つ!
これは往診業務だからこそできる業!!二頭流のメリットをしっかり生かせた今回のパルボ治療になったと思います。
でも、やっぱ疲れた~~~~~~
伝染病はしばらくゴメンです。
訪問アニマルクリニック浜口
あにまるロック診療所
レンタルトリミングルーム
代表 浜口 純過去のパルボ記事です
往診でのパルボ対応レポート
猫のパルボ対応2023