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想像を超える毛玉のトイプードル2頭のトリミング
- 2022年12月12日
先日、当院のパソコンのメールアドレスに、こんな相談がきました。
内容を要約すると、
東京在住の娘さんが福島の実家に久しぶりに帰省したところ
老犬(トイプードル2頭 15歳、16歳)が
全身毛玉で酷い状態になっていたので、驚いて事情を聞いたら、
高齢である飼主さんご自身が体を壊してしまい、
トリミングに連れていけなくなってしまったことがきっかけで、
毛玉だらけになってしまい、どうにもできなくなってしまったまま、
2年が過ぎてしまったとのこと。あまりの酷い姿にどうにかしてあげたくて、
地元のトリミングサロンや動物病院に相談したところ、
トリミングサロンは「毛玉が酷い子は受け付けません」「老犬は受けつけない」と断られ、
動物病院に関しては
「うちでワクチンをうってくれた子以外は対応していない」 ←ダセェなぁ~(呆)
なんて返答だったそうです。なかでも、「8歳以上の犬は受付ません」
なんていうトリミングサロンもあったそうです(ヘタレか!)そんななか、必死に調べていたら当院にたどりつたそうです。
「エリア外だけど無理を重々承知でお願いしています。
実家の老犬を助けてくれませんか?」といわれ、
困難な状況であればあるほど燃えてしまう私としては依頼を受諾!
そしてダメ元で当院委託のトリマーさんに聞いたら、「行きま~す」と即答(素晴らしい!)という訳で、私とトリマーさんで仙台から車で1時間半くらい離れた福島へ遠征
当日は依頼していただいた飼主さんの娘さんも
新幹線で東京から駆けつけてくれました。ちなみにご存知ない方もいるかもしれないので、補足します。
今回毛刈りを行うトイプードルというのは、
常に毛が伸び続け、夏も冬も抜け毛が少なく、
毛質も縮毛気味なため2~3ヶ月に1回シャンプーカットしなければ維持できません。つまりはトイプードルにとって、トリミングは生活必需処置なのです。
そして、半年でもしなければ毛玉だらけになってしまいます。
一度毛玉だらけになってしまったら、もうブラッシングやシャンプーでは
どうにもなりません・・・。バリカンで刈るしか解決できません。バリカンも市販のものでは歯が立ちません、
プロ使用のバリカンでしかどうにもできないです。つまりは、飼主さん自身ではどうすることもできないんです。
一昔前までは高級犬種だったので、それほど多くはなかったのですが、
「トリミングに来てくれるから」という理由でペットショップが積極販売を行って、
ここ数年で人気ナンバー1になった犬種です。最近では、ドッグサロンもトリミングに来てもらうために
自家繁殖を行ってるところも増えています。そんなトイプードルが2年間手入れをできていない・・・
これは想像を絶する世界に違いありません(怖)そして現場に到着。
犬をみたら想像をはるかに超える状態でした~。※飼主さんの許可を得て掲載しています。
ん??これは・・・
顔が毛塊のお面で覆われてどこに何があるのか確認できません。
そして一番酷かったのが、足(4本とも)足先から足首手首の位置まで
硬く乾いたウンコが毛を巻き込んで石のようになっています・・・
こうなった原因として目が毛玉で見えなくなってから、
ウンコを踏んでしまうようになってそれが化石化してしまったのでしょう。これはもう毛刈りというよりも毛塊掘り、トンネル工事みたいなもんです。
とにかく時間をかけて少しずつ作業するのみです。幸いおとなしい子なので、鎮静かけずにやらせてもらえました~。
伸びきった爪がいろんな向きになっていて、
どこにあるのかわからなくて、その都度確認しながら少しずつの作業です。
不思議なことに、肉球には1本も食い込んでいなかったです。顔は本当に慎重作業です!
そして3時間かけて生まれたままの姿に。
シャンプーをして1頭目完了。
そして2頭目も・・・同じ状態でした・・・。
2頭合わせて作業時間合計6時間。
どうにか作業完了。
トリミングというより
全て0.1㎜刃のバリカン毛刈りなので、
生まれたままの犬にもどしただけなので、犬種は不明のままかも・・・3ヶ月くらいしたら丁度良く毛が生えてくると思うので、
そのときにもう一度伺って、トイプードルに戻ってもらいましょう。
処置後も元気良好にすごしてくれているそうです。ちなみに本来のトイプードルはこんな感じです。
なんとこの子は14歳!
今回の子たちとほぼ同期です。
ちゃんと手入れしてあげたら老犬でもこんなにキレイにいれるんですよ~。とにかく今回は、同行して作業してくれたトリマーさんに感謝です!
エリア外での一日仕事大変お疲れ様でした~。乾いたウンコと毛塊だらけの犬の体を
「感覚がわからなくなるんで・・・」と手袋はかずに素手で作業している姿に
マジリスペクトしちゃいました~(チャラくてすみません)
すばらしきプロ根性!追記
このブログを見てくれた当院の初代委託トリマーさんから、
こんなメール届きました~。
「このトイプードル、これは刈りがいがある~。私もやりたかった~~!
ヨロイみたいになった毛玉のフェルトを皮膚を切らないように
細心の注意払うけど、楽しいんだよ!」なんだか救われました~!
世の中リスクばかり気にして、使命感よりも自己保全ばかりなペット関連業者ばかりと
思っていましたが、少なくとも私の周りはこれを楽しそう~、ってやりたがってくれる。世の中捨てたもんじゃないですね。
現在県外に住んでらっしゃるので、トリミングはやってもらっていませんが、
いつかまた一緒に仕事をしたいものです。2020年7月より、毛玉の酷い犬のトリミングは
事前往診させていただき、面談させていたただいてからの
作業予約とさせていただいておりますので、ご了承下さい。
事前訪問のときに健康状態の確認、毛玉の状態を見させていただき
価格の見積もりをさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
訪問アニマルクリニック浜口