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腹腔内出血
- 2015年10月05日
当院は大型犬と係わるケースがとっても多いのですが、
そのなかでとてもよく遭遇するのが「腹腔内内出血」です。これは、交通事故などで内臓破裂により起こることもありますが、
そのほとんどが、お腹のなかに出来た巨大腫瘍が破裂してしまい
出血を起こしてしまうというものです。腫瘍はすべての動物にできる可能性はありますが、
大型犬は小型犬に比べ、老齢になるとお腹の中に腫瘍ができる事が多いですので、
大型犬にみられることがほとんどです。腫瘍組織というのは一般の組織に比べ血管の発達が著しいため血管の数も多いです。
よって、それが破れた場合は単に出血といっても、この出方が半端じゃありません!
あまりにも大量な出血によりショックを起こします。破裂の原因は打撲等の外傷のほか、からだの止血機能の異常などもあります。
いずれにしても、もの凄い出血量でお腹がパンパンになって、
ショックと貧血で粘膜が真っ白になってしまいます。ある日突然グッタリして、息が荒くなるので慌てて気づいて連絡が来るのですが
口を開けたら歯茎が真っ白、立ってるのがやっとといった感じ・・・エコー検査でお腹に液体があるのがハッキリ見えるので、すぐ確認できるのですが、
確認できたら、直ちに搬送して緊急手術をして血の出所を取り除かなくてはなりません。飼主さんもそんな大変なこととは思ってませんので「??」のリアクションになってしまいます。
確かに往診行って、いきなり搬送?緊急手術?なんていわれても心の整理がつかないですよね。大型犬はあの陽気な性格ゆえに、具合悪くても元気に振る舞う傾向にあります。
だから通常より発見が遅れがちです。先日診た子も、脾臓の腫瘍(直径30cm大)の血管が破裂、
お腹を開けたときには2ℓの血があふれ出てました。
搬送先の先生が腫瘍を見つけ摘出、その場はどうにか麻酔からも覚めましたが、5日後死亡。飼主さんからよく言われる言葉で、
「苦しませないで自然に最後を迎えたい」というのがありますが、
この状態に関しては急激に苦しみ続けるだけなので、この願いは全く叶いません。とにかく手術して一刻も速く原因を突き止めるしかないです。
稀に破裂の仕方が小さいときがあって、手術なしで自然に血が止まり、
一命を取り留める例もありますが、これは犬の体の止血機能が
頑張り屋さんなのかもしくは強運なだけです。可愛そうな最後を迎えないためにも、
大型犬は年をとったら健診をおすすめします。訪問アニマルクリニック浜口